事業を通じた社会への貢献
JESグループのソーシャルインパクト
エレベーターの安心・安全を守ることがJESグループの使命であり、社会に与える最大のインパクトです。都市化が進む中で、ビル、マンションは高層化が進み、縦の移動手段であるエレベーター等は社会インフラとして、日頃から利用される移動手段として地位を確立しています。
エレベーター等は日本国内に約110万台あると推計していますが、JESグループの保守契約台数は2023年3月に88,630台、2023年12月には96,740台と順調に増加を続けており、マーケットシェアは8%以上にまで成長を遂げています。これはJESグループのサービスが利用者の皆様の生活を支える機会が増えていることを意味します。
そのような事業環境において、JESグループは「品質安全」「労働安全及び従業員エンゲージメント」をマテリアリティ(重要課題)として掲げ、安心・安全を常に支える企業グループとして、社会の持続的成長と、自社の持続的成長の両輪を回し続けていきます。
品質安全
エレベーターは、商業施設、住宅施設などで多くの方が日々利用する社会インフラとして、24時間、365日休むことなく稼働し続けています。我々はエレベーター等のメンテナンス事業を通じて、利用者の日常的なアクセシビリティの確保と安全稼働を見守っています。そのために、品質・安全を重要課題として位置付け、品質・技術力の向上、研究開発の強化を通じた利用者の皆様の満足度向上に努めています。品質安全のために、組織・体制、そのための人材育成に力を入れています。また、リモート遠隔点検サービス「PRIME(プライム)」は、複数の特許技術で開発されており、常にエレベーターの運転状況やコンディションを把握して故障の予兆を察知し、トラブルを未然に防止することや短時間における復旧を可能にしました。独立系メンテンナンス会社では、JESグループのみが提供できるサービスで、日々開発に努めています。エレベーターメンテナンスは、利用者からは見えないところで行われていますが、「見えないからこそ手を抜かない」という企業理念のもと、社会インフラの裏方として、利用者の日常のため、利用者の不安や不便を解決するため、そして利用者の笑顔のために、たゆまぬ努力を惜しみなく注いでいます。
労働者安全エンゲージメント
事業を支える最も重要な基盤は人材であると考えており、従業員の安全を確保すること、従業員一人一人が働きやすく、やりがいをもって職務を遂行できる環境を整えることで、JESグループの持続的な発展へと繋げていきます。2023年3月末における従業員数は1,766名と、事業の成長に合わせた新卒・中途採用の実施により人員は増加しています。一方で、独自の社内研修制度「STEP24」など各種研修制度を通じて、技術力の向上も進めています。従業員に安心して就業してもらえるように、ハラスメント防止に関する規程の策定、内部通報制度による人権への配慮に力を入れています。また、人事制度の拡充により、ウェルビーイングを考えた経営の実践をしています。
従業員の安全を確保すること、働きやすい多様な働き方ができる仕組みづくり、多様な人材の受け入れ、全員が活躍できる人材育成プランなど、さまざまな取り組みを行っています。
労働安全衛生
グループ安全衛生管理体制
JESグループはエレベーターメンテナンス事業を行っており、従業員の安全、健康のために労働安全衛生の管理体制を設けています。
常に「労働災害0」を目指し、度数率、強度率を指標として管理し、取締役会に定期的に報告を行っています。
事業会社の取締役会でも、労働災害に関する報告を求め、改善すべき事象が生じた場合、安全推進部が各社と協議し、グループ全体のリスク対策を行っています。
JESグループ安全衛生委員会を設置し、毎月1回各事業会社の代表を集い、労働者に起こりうる危険や健康障害を防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策等)について、十分な調査審議を行っています。
各事業会社の情報を共有することで、安全意識の常態化を図ると共に、グループ全体の安全統一化を図っています。
人権の尊重
基本的な考え方
JESグループは、国際的に合意されている人権の保護を指示、尊重することを企業活動の大前提として、JESグループ「行動規範」にて、人種、信条、民族、性別、宗教、国籍、言語、身体的特徴、財産、出身地等の理由で嫌がらせや差別を受けない、健全な職場環境を確保する旨を定めています。
-JESグループ「行動規範」抜粋-
当社グループは、人種、信条、民族、性別、宗教、国籍、言語、身体的特徴、財産、出身地等の理由で嫌がらせや差別を受けない健全な職場環境を確保します。特に性的嫌がらせ(セクシヤルハラスメント)、職権を盾にした行為(パワーハラスメント)については、会社として容認しません。
内部通報
内部通報制度を定めています。不正・法令違反行為等に関する相談または通報の適正な処理の仕組みを定めることにより、不正行為等の早期発見と是正をはかり、社会的信頼の確保に努めています。受付けた通報等について、しかるべき処理をした上で常勤監査役に報告しています。
ハラスメント防止体制
ハラスメントを含むコンプライアンスの不徹底が経営基盤を揺るがし得ることを十分に認識し、コンプライアンス規程を定めています。コンプライアンス違反を未然に防止するとともに、違反に対応するため「コンプライアンス委員会」を設置しています。ハラスメントを発生させない環境づくりのため、ハラスメント研修を実施し、ハラスメント防止に努めています。
海外事業における人権の尊重
成長戦略の一環として、ASEAN地域を中心にした海外事業を推進しています。インドネシア、ベトナム、マレーシア、香港、インドに連結対象子会社がありますが、人権の尊重を大切にした健全な職場環境を確保しています。ジェンダー、子ども、高齢者、先住民、移民、種族的マイノリティー、その他社会的立場の弱い個人やグループについては、人権にかかるリスクが高いため、特に注意した管理を行っています。
ダイバーシティ&インクルージョン
基本的な考え方
従業員一人ひとりが、高品質のサービスを提供する存在として、やりがいをもって、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、変化する社会において持続的に成長するための源泉であり、経営方針の一環としてD&Iを推進します。
ダイバーシティは、人種、国籍、性別、年齢、信条、価値観、働き方などの多様性及びその多様性を尊重することを意味します。
JESグループでは、多様性を尊重し、意志とスキルをもって活躍することが企業価値向上の源泉であると考えております。
従業員が多様性を尊重し、お互いを認め合い、様々な課題に対して、ともに乗り越えられるように支援をしあうことを推進していきます。
女性活躍の推進
男女雇用機会均等法、女性活躍推進法等の法令及び国連が定めるSDGsのジェンダー平等の精神に則り、上場以来、女性従業員数は増加しており、ジェンダー平等の環境を創出しています。
JESグループはエレベーター等のメンテナンス業務を行っており、従業員数に占める技術職の比率は60%以上を占めています。業務の性質上、技術職のほとんどは男性となっているため、女性従業員比率は15.2%となっています。
保守契約台数の増加に比例して技術職の人員増加が多い傾向にあることから、この傾向は続く見込みですが、営業職、事務職は女性従業員数が増えており、性別に関係なく活躍できる業務機会、職場環境の整備に努めています。
法令に則った出産・育児の人事制度の整備、出産後の支援のために「保育手当」「こども手当」といった人事制度を設けています。
復職後は柔軟な働き方を支援するために、時間短縮の働き方など柔軟な働き方を提供しています。
女性管理職比率
JESグループ(M&Aにより子会社化した会社を除く)における女性管理職は20名、管理職に占める女性の比率は6.8%となっています。
前述のとおり、JESグループは技術職の比率が高く、当面の間は管理職に占める女性比率の目標は定めず、女性管理職人員の前年比増加を指標として定め、人材育成及び社内環境整備を強化してまいります。
そのために女性活躍推進法に基づく一般行動計画の実行により、管理職として活躍できる人材を目指します。
外国人雇用
日本の少子高齢化の流れから、様々な産業で外国籍の人材活用が進んでいます。労働人口の減少に伴う労働力確保のために、国が中心となり外国籍雇用を進めており、その課題を解決することが期待されます。
国内では人材採用と人材育成の取り組みにより、現時点で労働力不足は生じていないと認識していますが、年々高まる当該課題に対して、外国人雇用の検討を進めます。
2023年3月期 従業員のダイバーシティ
高齢者の働き方支援
JESグループ(M&Aにより子会社化した会社を除く)では、現時点で60歳を定年と定めていますが、定年後も引き続き就業を希望される従業員については、嘱託社員(契約社員)として再雇用しており、70歳を超えて働き続けている方もいます。
年齢による影響は各人の思考や健康面に差がありますが、定年を迎えた社員が意欲と健康を維持しながら働き続けられるように、多様な個性や能力に応じた就業形態や職務内容として、働きやすい職場環境づくりを推進しています。
障がい者雇用
多様な人材のパフォーマンスを尊重し、障がいの有無にかかわらず、本人の希望やスキルを活かして働ける社会を構築していくことを目指しています。
2023年3月時点の障がい者は22名となっており、全従業員が助け合いながら就業する職場環境、JESグループで働く全員が活躍できる環境整備を推進しています。今後計画的な採用を実施していきます。
中途入社者
社会では新卒一括採用の時代から、中途採用者を含めた総合的な採用活動にシフトしています。
JESグループでは、新規学卒者と中途採用者の採用を行っております。中途採用者は技術職、営業職、事務職と幅広く、経験者を積極採用しており、人材育成及び社内環境整備を進めた結果、管理職に占める中途採用者の比率は高い水準になっております。当社は、新規学卒者、中途採用者の区分を問わず、適した人材を管理職に登用する方針であることから、中途採用者の管理職への登用に関しては具体的な目標を定めておりません。
社会貢献活動とコミュニティ活動
様々な社会貢献活動を行い、地域社会との共生を目指しています。埼玉県和光市にあるJES Innovation Center (JIC)、JES Innovation Center Lab (JIL)は、エレベーターの高層テストタワーを備えたイノベーションセンターで、以下の取り組みを通じた社会貢献を実施しています。
JIC&JILを通じた活動
地域未来投資促進法に基づく、埼玉県「地域経済牽引事業計画」を策定、2019年8月に承認を得ました。
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- 優れた技術力を有する県内企業が成長分野に進出し、さらに飛躍していける環境を戦略的に整備すること
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経済効果の大きい先端産業や次世代産業、雇用効果の大きい食料品製造業や流通加工業等の立地をさらに推進すること
JIC&JILがある埼玉県和光市から、2018年5月に和光市企業市民認定を受けております。
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- 環境保全︓北側歩道の植栽管理
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- まちづくり・地域コミュニティ︓「赤ちゃんの駅」を設置
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- 社会福祉︓和光市福祉協議会を通じて障がい者に植栽管理の一部を委託
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- 地元の消防と連携をして、近隣消防署の救助訓練や研修用テストタワーの開放、和光市消防署指導に基づく避難訓練を実施
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- 近隣施設と共同でバスの運行を実施
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- 災害ベンダー用自動販売機を設置、災害時も飲料水の無料提供ができるように整備
JES Innovation Center Kansai (JIK) 竣工
西日本の事業拡大を目指すために、2024年3月、兵庫県宝塚市にJIKを竣工いたしました。JIKでは、災害時に地域住民の一時避難場所として駐車場の開放や携帯電話などの充電を建物外部から使用できる電源設備の設置など、有事における地域住民への支援も計画しております。
LiftSPOT事業を通じた活動
エレベーターサイネージメディア「LiftSPOT」を提供するエレベーターメディア株式会社は、2022年10月から「地域創生応援プロジェクト」を展開しています。
従来、民間企業の商品やサービスをPRする動画を、全国のエレベーター内に設置してい るデジタルサイネージ「LiftSPOT」にて放映していましたが、地方創生プロジェクトに賛同 し、JESグループがもつアセットを活用して、地方自治体を応援するプロジェクトを立ち上げました。
地方創生事業(観光、ふるさと納税、移住など)のPR動画を放映し、音声と動画を使って各自治体の持つ魅力を情報発信することが可能です。
スポーツ活動
2023年4月に柔道部を設立しました。
柔道の礼節・自立・高潔・品格を重んじ、「精力善用」「自他共栄」の精神を軸とした人づくりの姿勢は、JESグループの社名に込められた「メンテナンスはサービス業である」という想いや、企業理念「何よりも安全のために」「見えないからこそ手を抜かない」「信頼を礎に」に共通すると考えています。
柔道部を通じて、技術スキルのみならず、社会人としての常識、ビジネスマナーを身に付けた、人として信頼されるエンジニア集団を目指し、さらなるグループ社員の一体感の醸成に取り組んでまいります。また、スポーツを通しての社会貢献や、国内外の主要大会のほかオリンピックなど、国際的に活躍できる多様な人材の育成にも力を注いでいます。
柔道教室の開催
2023年11月に埼玉県立武道館にて「第1回JES柔道教室」を開催し、約140名の小学生にご参加いただき、12月には高知県立武道館にて「第2回JES柔道教室」を開催し約120名の小中高生、大学生にご参加いただきました。