サステナビリティ経営の考え方

サステナビリティ経営を実践し、経済価値と社会・環境価値の向上を目指します

少子高齢化、デジタル化の進行、気候変動による市場環境の深刻化など、複雑化するマクロ環境の中、将来の予測は難しくなっております。不透明かつ不確実な社会において、JESグループがサステナブルに発展するためには、エレベーターメンテナンス事業における「品質安全」、それを支える「労働安全及び従業員エンゲージメント」をマテリアリティ(重要課題)に設定しております。

現在、企業は経済的成長だけでは評価されず、事業継続が難しい社会になりました。そのため、JESグループは中期経営計画VISION2027において、経済的な目標だけではなく、事業にESGの観点を取り入れて、社会課題の解決に向けた活動を推進することを定めました。

 

社会・環境課題は、我々の事業にも影響があります。当社は日本国内を中心に事業展開をしておりますが、日本では少子高齢化による労働人口の減少に直面しており、我々の事業成長を支える人材の確保において、重要な課題であると認識しております。当社の日本国内におけるマーケットシェア、これまでの成長経緯から、まだ拡大の余地は十分にありますが、それを実行するための人材獲得・確保は最優先に取り組むべき課題であると認識しております。人材獲得・確保のためには、JESグループが働きたい、働きやすい環境であることが大切であり、他社との優位性を持つ必要があります。これまで以上に、社会における人材の多様性を認め、その社会においてどのようにJESグループの魅力を訴求することができるかがポイントになっております。

環境課題については、気候変動による異常気象の影響が挙げられます。エレベーターメンテナンスにおいて、台風等の異常気象は故障を引き起こす可能性が高く、利用者の方が利用できなくなるリスクを生じさせます。エレベーターの稼働状況を確認し、適宜復旧作業に努めておりますが、異常気象の度合いが強まること、頻度が高まることで、メンテナンスに支障が出ることが予想され、利用者に影響がでるリスクは高くなります。気候変動による環境問題は、JESグループ事業に影響があると認識し、一企業としてできる限りの貢献をしていく所存です。

 

JESグループでは、2023年3月期よりグループ全体の温室効果ガス排出量を算定しております。自社でエレベーターの製造を行っていないため、工場を持つメーカー等と比べると排出量は低い水準にありますが、前述した通り気候変動による環境問題を一つの経営課題と捉えて、温室効果ガス排出量の削減を目標として掲げます。

短期目標として、売上高原単位の前年対比削減を目標とします。また2050年カーボンニュートラル社会の実現という長期目標に向けて、温室効果ガス排出量の削減目標を策定予定です。

サステナビリティ基本方針/マテリアリティと取り組むSDGs

サステナビリティ基本方針

JESグループは、「何よりも安全のために。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」という企業理念のもと、事業活動を通じて自らの強みを生かしながら優先的に取り組むべき課題を、①「品質安全」、②「労働安全及び従業員エンゲージメント」の2つのマテリアリティ(重要課題)として特定し、持続可能な社会の実現に取り組み、ステークホルダーの皆様から信頼され、必要とされる企業を目指します。

企業活動及び事業活動を通じた社会課題の解決を果たしていくとともに、それぞれのマテリアリティに関連するSDGsの目標達成にも貢献していきます。

マテリアリティと取り組むSDGs

サステナビリティマネジメント体制

昨今、企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上につながる要素として、サステナビリティへの関心が高まっており、企業に対してサステナビリティを巡る課題への積極的な対応とその開示を求める動きが加速しています。

JESグループは、サステナビリティにかかるマテリアリティの解決、機会・リスクの特定による、経営計画と連動したサステナビリティへの取り組みの推進を目的として、「サステナビリティ委員会」を設置しています。本委員会は、取締役副社長CFOを委員長として、委員はその目的に照らして、担当職務等に基づき適切と認められるメンバーによる構成としました。環境、社会、ガバナンス、他のサステナビリティに関する課題とあわせて、経営・事業との整合性の確認及び施策の管理・監督を行います。

主に、JESグループのサステナビリティの戦略・計画の策定、リスクの洗い出し・評価、対応策の検討・進捗管理、目標とすべき指標の設定等について審議を行うとともに、取り組み状況のモニタリング等を実施し、取締役会に報告や提言を行います。

サステナビリティ調達に関する考え方

JESグループは、企業理念に基づいた事業活動を行うために、人権・労働問題、環境問題等への取り組みの方針となる「サプライヤー行動ガイドライン」を制定しております。すべてのサプライヤーに対し、共に企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会への貢献を実現するため、JESグループの考え方をご理解いただき、本ガイドライン遵守にご協力いただくことが不可欠と考えます。

サプライヤー行動ガイドライン

1.方針

国内を中心に社会インフラであるエレベーターメンテナンスサービスを取り扱うJESグループにとって、持続可能なサプライチェーンの確保は重要な課題の1つです。JESグループでは、人権・労働問題、環境問題等への取り組みの方針となる「サプライヤー行動ガイドライン」を制定し、JESグループの基本的な考え方をサプライヤーの皆様へお伝えし、以下に定める項目への理解、実践を期待します。

 

  1. 強制労働の禁止
    全ての従業員を自由意思において雇用し、また従業員に強制的な労働を行わせない。
  2. 児童労働の禁止
    法令上、最低就業年齢に満たない児童を雇用しない。
  3. 健康的かつ安全・衛生的な労働環境の提供
    従業員に対して、健康的かつ安全で衛生的な労働環境の提供に努める。
  4. 団体交渉権の尊重
    労働環境や賃金水準などの労使間協議の手段として、従業員の団結権、団体交渉権を尊重する。
  5. 差別の禁止
    従業員の雇用における差別をなくし、処遇の公平の実現に努める。
  6. ハラスメントの禁止
    従業員の人権を尊重し、各種ハラスメントを禁止する。
  7. 適切な労働時間の管理
    従業員の労働時間、休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止する。
  8. 適切な賃金の確保
    従業員には法定最低賃金を遵守し、生活賃金以上の支給に努める。
  9. 腐敗防止の徹底
    関連法令を遵守し、腐敗防止を徹底する。
  10. 環境への配慮
    事業を行う際、地域社会や生物多様性への影響を考慮し、地球環境の保全に努める。
    気候変動課題、資源の有効活用、廃棄物削減、水使用に配慮する。

2.遵守違反への対応
本ガイドラインに違反する事例が確認された場合には、対象サプライヤーに是正措置を求めるとともに、指導・支援を行います。
指導・支援を行っても、是正が困難と判断された場合は、対象サプライヤーとの取引を見直します。

マルチステークホルダー方針

当社は、「何よりも安全のために。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」という経営理念のもと、持続的な成長を続けるために、環境や社会との調和を推進し、事業を通じた社会的課題の解決に取り組むことが不可欠であると考えており、お客様や株主をはじめ、従業員、取引先、地域社会等のマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでおります。その上で、価値協創や生産性向上によって生み出された収益・成果について、従業員への還元や取引先への配慮がさらなる事業の持続的な成長に重要であることを踏まえ、マルチステークホルダーへの適切な分配を進めてまいります。

①従業員への還元

当社は、経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力します。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、それ以外の総合的な処遇改善としても、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、教育訓練等を中心に積極的に取り組むことを通じて、従業員への持続的な還元を目指します。
(個別項目)
具体的には、賃金の引き上げについて、処遇改善をはじめとした労働条件向上施策を通じて、収益・成果を適切に分配・還元することに取り組むとともに、教育訓練等について、入社後にキャリア向上を実感してもらうために、「STEP24」をはじめとした技術員の育成だけではなく、他職種についても階層別研修による育成、また評価制度を通じたモニタリングを実施することで、従業員の長期就労の意欲を高めることに取り組んでまいります。
また、企業が持続的な発展・成長を続けていくためには従業員が安心して長く働ける人事制度が重要であり、当社は「安定した昇格・昇給」「成果をあげた人に還元」「子育て世代支援」などを軸に、人事制度を設計しています。時代変化、社会動向を踏まえて、必要な改定を行い、適応することに努めてまいります。

②取引先への配慮

当社はパートナーシップ構築宣言の内容遵守に、引き続き、取り組んでまいります。
なお、パートナーシップ構築宣言のポータルサイトへの掲載が取りやめとなった場合、マルチステークホルダー方針の公表を自主的に取り下げます。

また、消費税の免税事業者との取引関係についても、政府が公表する免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関する考え方等を参照し、適切な関係の構築に取り組んでまいります。

イニシアティブへの参加

気候変動や人権に関する問題への関心が高まる中、社会課題への取り組みを推進するために、様々なESGに関するイニシアティブの策定が国際的に進められています。イニシアティブのもとで、世界の企業が連携していくことが、国際的な社会課題への取り組みを進める原動力になっていると考えています。JESグループは、社会的背景のもと、企業の取り組みを後押しするイニシアティブに参加し、持続可能な社会の実現に向けた貢献のため、様々な取り組みを進めます。気候変動については、カーボンニュートラルへの意欲的な目標を設定するとともに、取り組みを進めています。
「TCFD」、「SBT」についてそれぞれの方針に則り、開示基準や将来的な目標に沿った行動を取り入れています。

TCFD
気候関連財務情報開示タスクフォース
(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

2022年11月、TCFD に賛同を表明しました。TCFDの提言に基づく情報開示の他、それらに基づく事業リスクと機会の分析を踏まえ、環境面でのサステナビリティの実現に向けて取り組んでいきます。

CDP
(Carbon Disclosure Project)

CDPは、投資家・企業・国家・地域・都市が、環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営している国際的なNGOです。JESグループでは、CDP質問書への回答により、環境影響を認識し、真に持続可能な経営を実現すべく努めています。

SBTi
(Science Based Targets initiative)

JESグループはSBTに則った温室効果ガス排出量の測定を実施しています。SBT認定を目指し、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みの明確化、削減目標の策定を進めています。

パートナーシップ構築宣言

当社は、内閣府や経産省、中小企業庁等が推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。
当社は2024年4月に宣言を公表しました。

健康経営優良法人

健康経営優良法人認定制度とは、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから評価を受けることができる環境を整備することを目的に、2016年度に経済産業省が創設した制度です。健康経営推進検討会(日本健康会議健康経営・健康宣言15万社WG合同開催)において定められた評価基準に基づき、日本健康会議が「健康経営優良法人」を認定します。