JIC × KAZU
安全の裏側にある信念
カズ、JICを歩く
ジャパンエレベーターサービス(JES)が2017年10月13日に完成させた「JES Innovation Center(通称JIC)」(埼玉県和光市)は、JESが誇る技術を集結させたエレベーターの最新研究開発施設。石田克史会長とは十数年の付き合いで、JESの技術に対する想いに共感するキング・カズこと三浦知良選手が、JICを訪れ、その技術の粋に迫る。
成長の足を止めない
その理由を、JICで体感する
横浜FC 三浦知良
1967年生まれ、静岡県出身。ポジションはフォワード(FW)。2006年より横浜FCに所属。最年長プロサッカー選手であると同時に、Jリーグ発足当時からプレーを続ける唯一の現役選手として活躍中。
“何よりも安全のために”“見えないからこそ手を抜かない”“信頼を礎に”──。この3つの企業理念の下、1994年の創業以来、エレベーターの安全・安心のために走り続けているジャパンエレベーターサービス。
徹底したメンテナンスへのこだわり、全国約70か所におよぶ拠点と600名超のエンジニア、各エレベーターメーカーの製品に対応できる確かな技術とノウハウが高く評価され、現在、保守契約台数は約43,400台(2018年3月末時点)。国内独立系エレベーターメンテナンス会社ではトップシェアを誇る。
メンテナンスにかけるあくなき探求はとどまることを知らず、さらなる進化を目指して人・モノ・サービスに関するさまざまな機能を集約させた「JES Innovation Center」を2017年10月に完成させた。独立系エレベーターメンテナンス会社では初となる高層テストタワーがシンボリックな、最先端の研究開発施設だ。
この日、JICを訪れた三浦知良選手は、真新しい建物を見上げて言った。
「JESはどんどんステップアップしていますよね。特にここ10年の成長は目を見張るものがあります」
その言葉に「まだまだ成長していきますよ」と、力強く応える石田会長。確固たる自信の背景にあるものは何か。その理由を、ここJICで垣間見ることができる。
時間帯や状況にかかわらず、
迅速に対応してくれる安心感
三浦知良選手が最初に向かったのは、同施設の2階に設けられた「コントロールセンター」。ここでは、24時間365日体制でひと時も休むことなく稼働するエレベーターの安全運行をサポートしている。JICに移転したことでコントロールセンターの収容面積・人員を拡大でき、近年、増え続ける顧客へのきめ細やかな対応が可能になった。
なかでも、三浦知良選手が関心を寄せたのは、電話とコンピューターを連携させた「CTIシステム」。エレベーター利用者が非常ボタンを押すと、コントロールセンター内のモニターに情報が表示され閉じ込めなど緊急事態と判断した場合には、GPSにて現場に最も近いエンジニアの位置を把握し、いち早く現場へ急行させることを可能にしている。
「狭い空間が平気な人でも、エレベーター内に閉じ込められると不安でパニックになります。携帯電話もつながりにくくなりますし。そんなとき、休日や夜間に関係なくすぐ駆けつけてくれるわけですから、とても心強い。それもこれもここで常時見守っているスタッフさんがいるおかげなんですね」(三浦知良)
また、災害による停電が発生した際も、3日以上コントロールセンターを稼働できる非常用発電機、さらには太陽光発電機なども設置し、いかなる状況下でも電力を確保できるよう備えている。
ほかにも、同社が独自開発したリモート遠隔点検サービス「PRIME(プライム)」で故障の早期発見・遠隔メンテナンスを実施。より迅速な復旧対応を可能にした。
【コントロールセンター】24時間365日、安心・安全を見守る
JESのテクノロジーを結集した万全のサポートシステムを備えている。非常事態が発生しても、すぐさまエンジニアを急行させ、問題を解決。災害による停電が発生しても、非常用発電機等でコントロールセンターを稼働させるので、どんなときも“つながる”のが最大の強みだ。
膨大なデータを基にパーツを整理。
専任スタッフが24時間365日待機
次に訪れたのは、2階の大半部分を占める「パーツセンター」だ。ここには、独立系最多のエレベーター部品がストックされている。おもに主要エレベーターメーカー全社の純正部品が揃っているが、供給が停止したパーツもできるだけ提供できるよう、リサイクルパーツの入手・管理にも力を入れている。いざというときに顧客の期待に応えたい。ここにもその思いが詰まっているのだ。
「細かいものがたくさんありますが、どのように把握しているんですか?」と三浦知良選手。そこも同社ならではの工夫がなされている。これらはメーカー別、機種別、さらには消耗度、故障頻度といった膨大なデータにもとづいて整理されている。
しかも、休日や夜間を問わず、24時間365日、専任のパーツエンジニアが常駐。故障や停止などのトラブル時でも素早い出庫体制で復旧対応に備えている。
さらには、電子部品の劣化を防ぐため、保管環境にも細心の注意を払っている。温度や湿度、吸排気を徹底管理しているのはもちろん、壁・床・天井のすべてに帯電防止剤を施し、静電気による損傷からもガード。質・量ともにこれまで以上に充実した体制を整え、部品の管理を行っている。
【パーツセンター】独立系最多のパーツで対応力に絶対の自信
精密に造られているからこそ細心の注意が必要なエレベーターパーツ。JICではこれらのパーツの保管にも配慮し、最適な環境を整えている。また、パーツセンターには24時間365日体制で専任のパーツエンジニアが常駐。昼夜にかかわらず素早い出庫体制で復旧に備えている。
独自の教育カリキュラムにより、
約2年にわたって知識・技術を習得
ここまでさまざまなシステムに触れてきたが、これらを確実に機能させるには、最後のバトンを受け取る者、すなわち、顧客や利用者と直接かかわる現場エンジニアの育成が不可欠。この点においても同社は、他の追随を許さない独自の教育カリキュラムを設けている。それを実施しているのが「テクニカルサポート」エリアだ。
同社はエレベーターメーカー全社の製品を扱うため、広範な知識と技術を身につけなければいけない。そうでなければ現場エンジニアが務まらないからだ。そこで、約2年にわたって人を育てる。
学ぶ内容も幅広く、社会人としてのマナーやモラルをはじめ、エレベーターの基礎知識、各メーカーの製品特性、自社エレベーターへのリニューアル技術、そして接客法まで。これらを座学、実機による演習や、教育トレーナーの下で行われる現場トレーニングを通じて、確実に習得していく。
さらには、独自の社内資格制度である昇降機安全作業資格者考査や昇降機保守担当資格者考査も設け、これらすべての試験に合格しなければ現場の担当や夜間・休日の緊急対応はできない仕組みになっている。
もちろん、2年の研修期間が修了しても、それで終わりというわけではない。随時、エンジニアの知識と技術の習熟度をモニタリングし、さらなるスキルアップを図っている。
【テクニカルサポート】任せられる“人”がいる
新人からベテランまで、継続的なOJTでプロフェッショナルを育成。新入社員は約2年にわたる研修にてエンジニアとしてのノウハウを習得。その後、経験を積んだベテランとなっても、随時、知識と技術の習熟度を確認できるので、さらなるスキルアップを図ることができる。
エレベーターの制御盤も自社開発。
何万時間にもおよぶ動作検証を行う
最後に、JICのシンボルでもある「テストタワー」を訪れる。高さ約50メートル、階数にして15~20階に相当する。ここでは計4台のエレベーターが稼働し、何千時間、何万時間にもおよぶ「制御盤」の動作検証を行っている。
「制御盤」とは、エレベーターを自動運転させる頭脳のようなもので、最も重要な機器である。しかし、制御盤をはじめとする部品の耐用年数はおおむね20年。安全かつ快適な運転を保つためには20~25年を目安にエレベーターのリニューアルが推奨されている。
「しかし、それだけの年数が経つと、すでに入手できない部品もありそうですね。その場合は大規模な工事を? 一定期間、エレベーターが使えなくなるから階数が高い建物だと大変そうだなあ」と、三浦知良選手。
指摘のとおり、エレベーターのリニューアル工事は、制御盤や巻上機などすべての主要機器を交換する必要があり、高額の費用に加え、1週間前後の利用停止も余儀なくされる。
その課題に応えたのが、同社サービス「Quick Renewal(クイックリニューアル)」。このサービスでは、交換するのは制御盤のみ。同社が開発した最新マイコン方式の制御盤へと入れ替える※。工事期間は約半日、費用も格段に抑えられる画期的なサービスである。
ここで交換する同社オリジナル制御盤と他社エレベーターとの相性を検証する場が、このテストタワーとなっている。
事故は絶対に許さない――。その責任感の下、誕生したさまざまなサポートやサービス。それらを集約したJICは、まさに今後の同社の成長を支える柱なのである。
※部品供給停止機種及び供給停止間近のエレベーター機種に対応。
※Quick Renewalが対応していないエレベーターも一部あるため、詳細はお問い合わせを。
【テストタワー】最新技術が詰まったJICのシンボル
JICの象徴ともいえるテストタワーは、独立系エレベーターメンテナンス会社で初となる高層テストタワー。ここでは自社開発のオリジナル制御盤の相性を検証し、計4台のエレベーターを同時稼働させ、何万時間にもおよぶテスト運転が可能だ。
※拠点数や契約台数などの数字情報は、すべて2018年 3月末時点の情報です